学生時代の遺産:勉強法について

其の壱 時間活用法


●作業の能率は、午前10時と午後3時にピークになる。
 ゲーツという学者の実験によると、小学5、6年生の子供や大学生を使って、足し算、掛け算色々な記憶などのテストを、色々な時間帯に行ったところ、8時ごろの成績を100とすると、10時には106にまで上がり、その後、1時には98にまでさがり、また3時に103にまで上がっている。
 →夜遅くまでおきて勉強して、朝遅くにおきるという勉強は、効率が悪い、ということです。


●重要な勉強は、おきてから2,3時間後にせよ
 人間の脳は、おきてから2,3時間後に最も活発になるそうです。
 →早起きが大事、ということです。


●同じ作業は長時間ぶっ続けでしない。
 ある作業の練習を20回繰り返したとき、集中的にぶっ続けで練習した時は、最終的に一回にかかる時間が80分になったのに対し、一回練習するごとに一日の休憩を置いた場合には、最終的に50分くらいですんだという記録があります。これが「ヨストの法則」とよばれているものです。
 →一夜漬けや急場の詰め込み勉強は効率が悪いということです。


●休憩は短い間隔、短い時間でやる。
 作業時間と疲労回復の研究によると、作業時間が1時間増えるごとに、回復に要する時間は、2倍、4倍、16倍と、倍々にふえることがわかっています。
 →短い間隔で短期間休憩することが、時間と頭を最も有効に使うことになります。







●20分学習、10分休憩の繰り返しが集中力をつける
 人間の最も緊急した集中力というのは、せいぜい20分から25分くらいしか続かないそうです。


●昼食後は、10分でも昼寝をするとよい
 ゲーツという学者の研究によると、仕事や勉強などの純粋に精神的な作業には、午前中が適していて、逆に運動の能率は、午後になるほどよい成績をあげるそうです。
 睡眠と脳の働きの関係によると、午後一時ごろは、頭脳活動は、午後一時ごろ、能率が最も起きる時間だそうです。
 →昼寝をする事により、低下しつつある脳の働きを、生き返らせることが出来るそうです。
  しかし、寝すぎると、逆効果になります。


●計画は、週単位、月単位でなく、1日単位でたてる。
 月間プランなどは、1日崩れると、そのままなし崩しになり、また1から計画を立てる、ということになるからだそうです。
 →ただ計画を立てるだけでなく、実際1日、どれだけ出来たか、計画と照らし合わせるのも大事です。つもりの1日と、実際の1日が、どれだけ違うか・・・
 また、スケジュールは、分刻みにすると、たてた予定は必ず守る、という気持も強くなるそうです。










其の弐 勉強法


●ペアを組んだら、組まないときの2倍はかどる 
 ワシントン大学の心理学者たちが、初歩社会心理学の講座の学生に“友人指導”という方法をさせたところ、友人同士で刺激しあったために、成績の悪い者が引き上げられ、上位の者も更に評価が上がりました。
 この方法の利点として、
 1.無駄な時間の使い方が減り、合理的な勉強ができる
 2.お互いに説明しあわなければならないのでえ、今までより理解が深まり疑問点が消える
 というのがあります。また、受身でない、積極的な学習が出来ます。


●ヤマは、何人かの他人にかけさせてまとめる。
 一人一人のヤマは非常に主観的ですが、多くの人のものをまとめると、より確実になります。


●勉強仲間をつくる
 同じ勉強をしている人がいたら、模擬授業などをすると、記憶が定着して、理解度もアップします。理由は
・理解できていないと、人に説明できないし、理解は暗記を助ける
・講師を体験する事により、エピソード記憶になる。
・レクチャーを聴く学生は、聴覚記憶により暗記力がアップする。
 などです。
 →同士との勉強というのは、非常に大事です。


●似た科目は続けてしない
 京都に修学旅行に行った生徒が、お寺見て回った後で、どの寺がどうだったか、サッパリ覚えていない、ということがありますが、こうした記憶の混乱を、心理学では重畳効果といいます。似たようなことを一気に頭に入れると、お互い同化しあって、区別がつかなくなります。
 →勉強計画を立てるときには、注意が必要です。








●似たような問題を2冊、間をおかずに解く
 これは、情報理論では、フィードバックと呼ばれる、逆方向に戻って、誤りを修正するチャンスをつくり、より正確な「値」に近づける方法です。
 →覚えた情報、解いた問題のフィードバックを確実にするのに適しています。


●少しずつコツコツより、ざっと全体を繰り返す
 少しずつコツコツ、区切ってやる方法を分習法、全体をざっとやるのを全習法といいます。
 内容にもよりますが、比較的に短く、一つの構想で貫かれているものは、分習法より、全習法の方が、より効率的です。
 たとえば、あるテキストが第1章から第3章まであり、150時間で勉強するというときに、
 部分法:第1章を50時間、第2章を50時間、第3勝を50時間で勉強する。
 全体法:最初の50時間で、テキスト全体の太字の極だけ暗記する。
      次の50時間で、テキストの本文全体をざっと通読する。
最後の50時間で、テキストの本文の暗記とそれ以外の細部(資料など)に目を通す。
 とすれば、全体法のほうが暗記できた知識量は多くなります。
 →小刻みに覚えようとしても、理解が伴わないですが、全体像を見渡しながら繰り返すと、効果が上がり、深く理解する事が出来ます。


●集中法より、分散法
 集中法:5日間つづけて、毎日その分野を勉強する(1日1時間、計5時間)
 分散法:3日に1回くらいの割合(1回1時間)、全部で5回に分けて勉強
(計5時間)
とすると、勉強にかかった時間は、同じだが、結果的に分散法の方が実力がつきます。それは、「レミニセンス効果」とよばれる者によります。
 これは、眠っている間に、脳が必要な知識と不必要な知識を振り分ける、という脳のメカニズムにより、不要な知識は捨てられ、必要な知識が整理・統合されるためだと言われています。




●うろおぼえ勉強法
 たとえば、参考書を使う場合 
 1.ほとんど完璧にしてから覚えるかを確認する方法
 2.ざっとやってから、問題集を解き、間違えたり忘れたりしている事項があっ
たら、参考書を覚え直す方法
 の2通りがあるとしたら、後者の方が優れているといわれます。それは、
 「大脳は間違えることによって、記憶が強化される性質がある」
 からといわれます。
 →完璧にというより、うる覚えから記憶は発展するということです。


●わからなくても3歩進んで2歩さがる
 記憶をよくする方法に「漸進反復法」というのがあります。
 第一の部分の勉強が終わったら、第二の部分に移り、第二の部分が終わったら、次に一歩下がって第一と第二の部分を一緒に勉強する。
 →まとめて勉強することによる反復が、記憶の強化につながります。


●「つぎたし」勉強法も、記憶の強化になる
 先ほどの「漸進反復法」とは微妙に違うやり方で、「直接反復法」というのがあります。第一の部分を終えたら、新しい第二の部分に進まず、またはじめから第一の部分から出発して第二の部分に進む勉強法です。新しい部分を既習の部分につぎたしていくようにします。
 →時間はかかりますが、つぎたし部分が増えるほど、まえに勉強した部分は、確実に自分のものになります。


●「締切効果」を勉強に活かす
 長時間勉強をするときには、だらだらとするのでなく、時間を区切り(先ほどは20分と書きましたが、もう少しできる、という人は、45分、90分を一単位とするといいそうです。90分が、普通の人の集中力の限界といわれます)、その時間で、「テキストの何ページまでやる」という目標を立てると、目標をクリアしようとする意思が働くので、集中力が増して、勉強がはかどる、これが、「締切効果」とよばれるものです。
 ちなみに、その勉強の間の記憶は、均一にはなりません。最初の方と、最後の方は、よくおぼえています。これを「初頭効果」と、「親近性効果」と呼ばれます。

其の参 記憶法


●覚えたことを忘れたかったらすぐ眠る。
 ジェンキンスという心理学者の実験によると、学習後すぐ眠った場合は、2時間後までは記憶が減少するが、それ以降は減少しないのに対して、ずっと起きたままでいると、記憶は学習後8時間をへても、まだ急激な減少をやめないことが明らかになったのです。
 →就寝前30分に勉強したことは、なかなか忘れないといわれます。
 →夜ずっと起きたままいたりするのは、記憶の保持にとっても逆効果です。
 

●9時間以内に30分の復習を。
 エビングハウスという人は、記憶の保持、忘却に関する、一つの曲線を明らかにしました。
 記憶率というのは、最初は急激に減退して、時間が立つにつれて、その度合いが緩やかになります。その境目が、記憶後9時間くらいだそうです。
 →9時間以内に30分でも、復習をする事により、最終的な記憶の把持率を高く留めることが出来るそうです。


●過剰学習は、時間の無駄
 「過剰学習」とは、覚えたことを少し忘れたくらいで「もう心配でたまらない」とばかりに、同じ箇所を何度も何度も復習していることを言います。
 こうすると、時間の無駄になり、勉強が先に進まない。それに、余りにも神経質になり不安な精神状態で勉強していると、記憶力もダウンしていしまいます。
 →効率が大事、ということです。


●どう覚えようかと考えること自体が、記憶を促す。
 →あれこれと有効な記憶法を考えること自体が、そのことがらの特徴や奥にひそむ意味を観察する事になり、頭脳に強く印象付けられるからだそうです。









●重要なことは、勉強時間の最初と最後に覚える。
 意味のないつづりを順番に並べ、覚えて行くという実験をしたところ、最初と最後の部分はよく覚えているが、中間のものは、覚えにくいということがあります。
 最初のつづりを覚え、つぎのつづりを覚えるという作業を続けていくと、後ろのつづりは前のつづりに影響されて、思い出すことを抑制されます。これを順向抑制とよびます。手前のつづりの場合は、後ろのつづりに影響されて覚えにくいという、逆行抑制を受けます。そのため、真ん中のつづりは、前後両方向からの抑制を受けるため、なかなか記憶できないということになるのです。
 →アルファベットでも、ABCやXYZはすぐに覚えれた、という経験はあると思います。


●記憶を長くとどめる作用は、読み1、暗唱4。
 学習心理や記憶の研究をしている学者たちの実験によると、16の無意味なつづりを覚えさせる9分間の時間を、全時間読みにあてる場合、5分の3読みで5分の2暗唱にあてる場合、5分の1読みで、5分の4暗唱の場合など、色々な配分で調べたところ、暗唱が長くなるほど記憶量が増えることがわかりました。
 よんだ直後の記憶が、全時間読みの場合35%だったのに対し、5分の4暗唱では74%と明らかな差を見せたのです。
 しかも、さらに4時間後にしらべてみますと、全時間読みが15%に対し、5分の4暗唱では48%と、その差がますます広がりました。
 暗唱は、単に直後の記憶量が多いだけでなく、記憶を長く留める作用もあります。
 ちなみに暗唱とは、必要なときだけ文字を見るようにします。
 →そのもっとも効率のよい時間配分が、だいたい読み1、暗唱4と言われます。


●覚えたときの状況も一緒に覚えておく
 エピソード記憶と関連します。エピソード記憶とは、旅行や対人関係などの過去の経験が、イメージとして保持された記憶のことです。一連の出来事が関連性をもって記憶されているので、思い出すのが容易になります。
 cf)忘れたくないことは、いつもと違った環境で覚える。


●反復、復習が記憶を完璧にする



●右脳の記憶容量は左脳の10倍以上
おおまかに言うと
 左脳:「読む」「話す」「書く」などの言語に関する機能をつかさどる
 右脳:図形や模様の認識(パターン認識・空間認識)や音楽の認識
ということです。
→具体的には、イメージで覚える、とか


●覚えるべき分量と、それにかかる時間との関係について
 フーコーの実験によると、覚えるべき分量は
 「所要時間の2乗に比例する」
 そうです。
 たとえば、100個のことを暗記するのに1時間かかった場合は、200個のことを覚えるのにかかる時間は、2時間でなく、2の2乗の、4時間かかるということです。これは、「干渉効果」により、頭が混乱するからだそうです。
 →詰め込みで一気に覚えるというのは、逆効果ということですね。


●英単語を1日に10個ずつ覚えるこつは、20−10=10
 英単語を1日10個覚える場合は、1日10個すると思いますが、それより効率がいいのが、1日に20個をザッとやって、そのうち半分でも覚えればいい、という勉強法です。そうしたら、次官の節約にもなり、忘れた単語は、要チェック単語だ、とわかるからです。
 →ほかの事にも応用できると思います。











其の四 生活術


●抹茶には目覚まし効果とストレス解消効果がある
 →カフェインに加え、ビタミンCも豊富なため、ストレス解消にも役に立ちます。


●あくびや伸びは脳の活性を高める
 筋肉の中には、筋紡錘という一種の感覚器が無数に入っていて、筋肉が緊張すると、それに応じて脳に信号を送ります。この作用は、直接的には筋肉の緊張・仕官を脳が知るためにあるが、同時に脳幹部にある網様体というところに働きかけ、脳細胞を指摘するのです。そのため、ぼんやりしかかっていた頭脳がはっきりし、生き生きとした活動力を取り戻す。


●朝、脳を、活性化させる方法
 頭がフル回転しだすのは、一般的に「おきてから二時間後」だそうです。
 頭を活性化するためには、一つには、ジョギング、散歩など、運動するとよいそうです。

 また、朝の入浴も脳の活性化に役立ちます。42〜43度とか、熱めの風呂に入ると
 「交感神経が刺激される」
 「毛細血管が収縮するので、血圧があがる」
 という二つの作用によって眠気が取れて、覚醒します。

 ちなみに、夜は39〜40度でぬるめに設定すると、リラックス、疲労回復になります。