【第三章 第6節:著作権】

1.著作権法(1−40,2−68)
著作権法は、著作権の権利・著作権の権利に隣接する権利を保護することによって著作権の創作活動を促進するとともに、権利保護と公正な利用の調和を図ることで、文化を発展させることを目的としている。
著作権法にいう著作物とは、?思想または感情を、?創作的に、?表現したものであって、?文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいう。例えば、単なるデータは事実の羅列に過ぎないため??を満たさず著作物にあたらない。しかしデータもデータベース化され情報の選択、配列または構成に創造性が認められる場合には、著作物にあたる。なお行政機関の発する告知、訓令や通達などは公衆に対して周知徹底させる必要があるため、著作物にあたらない。
著作権法にいう著作者とは、著作物を創作する者をいう。なお法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く)で、その法人等が自己の著作の名義の下に講評するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とされている。

2.著作権著作者人格権(1−41,2−69)
著作者には、著作権著作者人格権が認められる。両者は、特許法などと異なり、創作時に発生し登録を要しない点では共通する。ただ前者が財産権なのに対して、後者は人格権という違いから種々の取扱いの相違がある。たとえば著作権は他人に譲渡できるのに対して、著作者人格権一身専属権なので譲渡できない。また著作権は著作者の死後も50年は存続するのに対して、著作者人格権は著作者の死亡により消滅する。
著作者自身が著作物を上映したりすることはまれなので、著作権の実際上の意義は、他人の利用を禁じたり、他人に利用させることにあるといえる。ただし、著作権は、指摘利用のための複製、妥当な範囲の引用、図書館や学校その他の教育機関における複製、時事問題に関する論説の転載等においては、その保護が及ばない。
著作権人格者は、?公表権、?氏名表示権、?同一性保持権からなる。まず公表権は、著作物自体の公表の有無を決定する権利である。氏名表示権は、著作物に著作者の氏名を表示させるか否かを決定する権利である。同一性保持権は、著作権の内容及び題名を無断で変えさせないようにする権利である。

3.共同著作権と共同著作物の著作者人格権(1−42,2−70)
(1)共同著作物
共同著作物とは、2人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して、個別的に利用することができないものをいう。共同著作物では、著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ行使することができない。また、共同著作物の著作権を行使するにあたっても著作者全員の合意が必要である。
しかし、これらの場合に全員の合意を得ることは必ずしも容易ではない。そこで、著作権法は、信義に反する場合、正当な理由がない場合には、合意の成立を妨げてはならないとしている。

(2)共同著作権
著作権が、持分の譲渡や相続により複数の者に帰属した場合など、著作権の共有が生じることがある。このような場合にも行使や持分の譲渡は全員の合意によらなければすることができない。また、正当な理由がない場合には、合意の成立を妨げてはならない。

4.著作権の利用許諾(1−43,2−71)
利用の許諾とは、著作権者が対価の支払いと引き換えに、他社に対して、当該著作権の利用を認めることをいう。
許諾には、著作権者が第三者に重ねて許諾しないことを約する独占的利用許諾と、単に著作権を利用することを認めるだけの非独占的利用許諾とがある。
著作権の利用の許諾を受けた者は、著作権者の承諾が無ければ、その地位を第三者に譲渡することができない。
出版社が著作権の出版を引き受けようとする場合、出版許諾契約を著作権者と締結する方法がある。しかし、出版許諾を受けただけでは、違法に出版を行う第三者に対する差止請求が認められず、また損害賠償請求権も困難であるとされている。出版を専有しようと考えるときには、出版権を設定することが必要になる。

5.出版権の設定(1−44,2−72)
著作物を文書や図画として出版したい者は、著作権者など複製権を有するものから出版権の設定を受け、頒布目的で当該著作物を複製する権利を専有することができる。
出版権は、独占的権利である。出版権が設定された後は、複製権者も自分で出版したり、第三者に出版させたりすることができなくなる。出版権が登録されると、第三者に対抗することができる。

6.著作権の譲渡(1−45,2−73)
著作権は、その全部または一部を譲渡することができる。なお、譲渡に際し、翻案したりする権利、二次著作物の利用に関する原著作者の権利を譲渡する旨が特掲されていなければ、譲渡者に留保されたものと推定される。したがって、これらも含めて譲渡を受けるときには、はっきりとその旨を契約に示す必要がある。

7.著作隣接権(1−46,2−74)
実演か、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者の4者は、著作物の公衆伝達に重要な役割を果たし、かつ著作物の創作に準じた準創作的な行為を行うため、著作権に準じた著作隣接権により保護される。

8.著作権の侵害とその救済(1−47,2−75)
いかなる行為が著作権侵害となるかについては、著作権法には明確な定義規定がないが、著作権者の許諾があるなどの正当な理由がないのに、権利の目的物を利用する行為と解するのが一般的である。
著作権の侵害があるときは、民事上のみならず刑事上の責任を追及される。
具体的には、次のような行為が著作権の侵害にあたる。
?頒布目的で侵害物を輸入する行為
?侵害物を情を知って頒布し、また頒布目的で所持する行為
?プログラムの侵害物を業務上使用する行為
?故意に虚偽の権利管理情報を付加する行為
?故意に権利管理情報を除去・改変する行為
?情を知って、??の著作物を頒布する等の行為
?著作者の名誉または声望を害する方法によりその著作物を利用する行為
このほか、複製、上演、演奏等を、正当の理由がないのに行えば当然、著作権の侵害となる。

9.コンピュータ・プログラムの著作権(1−48,2−76)
コンピュータ・プログラムも著作権法の保護対象である。ただし、著作権法の保護対象となるのは、プログラムの表現であり、プログラムの表現であり、プログラムのアイデア(プログラム言語・規約・解法)の部分は、著作権法でなく、特許法で保護される。したがって、アイデア自体が模倣されても、表現形態が異なれば著作権侵害を問うことは困難である。