2.リース契約(1−49)

(1)リース契約とファイナンシャル・リース
リース契約とは、本来は賃貸借契約のことである。しかし、今日では金融取引の一形態として行われる、ファイナンシャル・リースを指すことが多くなっている。
ファイナンシャル・リースは、建設機械・医療器具などについて行われるもので、大体次のような仕組みになっている。
ファイナンシャル・リース(ファイナンス・リース)では、まずユーザーの希望に従ってリース会社がサプライヤーから物件を購入し、ユーザーに賃貸する。ユーザーはリース外車に賃料を支払い、物件を使用収益する。
これは一見、リース会社が、単に物件を買い付けてユーザーに貸し与えているだけのように見える。しかし、ファイナンシャル・リースは、経済的には、金融を目的とするものである。しかし、ファイナンシャル・リースは、経済的には、金融を目的とするものである。すなわち、実際に商品の選定にあたるのはユーザーであり、商品を利用するのもユーザーなので、実質的な買主はユーザーだといえる。リース会社は、形式的には買主であるが、実質的には、ユーザーに対し購入資金を融資する借主の地位にあり、賃料の名目で貸付金の返済を受けているものと捉えることができる。
なお、ファイナンシャル・リースは物融とも称される。

(2)ファイナンシャル・リースの効用
ファイナンシャル・リースを利用することによる、ユーザー・サプライヤーそれぞれのメリットは、次のようなものである。
鄯 ユーザーにとってのメリット
?実質的金融効果
動産賃貸借でありながら、実質的に金融を得たのと同様の効果を得られる。また、目的物の所有権はリース会社に留保されているので、これが担保の機能を果たし、別に担保を提供する必要がない。
?節税
リース料は経費扱いとなって損金処理ができる。また、リース期間は通常、法定耐用年数未満で定められるので、いわば減価償却を短期間で行うのと同様の効果が生じるため、節税効果も期待できる。
?陳腐化リスクの回避
リース期間が満了すると、直ちに他の新しい設備を導入できる。これは革新技術の成果をすばやく導入したり(コンピュータ等)、定期に模様替えをしたりする(ホテルなど)ために大変便利である。
鄱 サプライヤーにとってのメリット
ユーザーにメリットがあることを強調して販売を促進できる。また販売代金をリース会社から短期間で回収できる。

(3)リース契約を巡る問題
鄯 物件の瑕庇を担保しない旨の特約が置かれる。一方で、サプライヤーのユーザーに対する瑕庇修補義務が特約として定められるのが通常である。
また通常の賃貸借契約であれば、賃貸人が物件の保守・修繕義務を負うが、ファイナンシャル・リースでは、ユーザーがその責任を負う。これは、物件がユーザーが選んだものであり、ユーザーは通常その取扱に精通していること、それに対して、賃貸人であるリース会社には実質保守能力がないこと、またリース料にはリース物件のメンテナンス・修繕費用は織り込まれていないことなどによる。
鄱 契約の解除
リース契約では、ユーザーからの中途解除をすることは通常認められていない。これは、リースの本質が金融であり、実質的にはリース料の支払が貸付金の返済としての性格を有するためである。
一方、ユーザーのリース料支払いが滞る債務不履行があった場合、リース会社側から契約を解除することは可能である。解除されると、ユーザーは物件の返還義務及び損害賠償義務を負担する。
ただ、リース料不払いのリスクを回避するため、あらかじめ数か月分のリース料相当額を、前払いリース料という名目で担保として受け取ったり、ユーザーの経営状態の悪化しているような場合は、通知義務を課したりすることが行われている。

(4)リース契約終了後の処理
リース契約期間満了後の処理は、?ユーz−亜が再びその物件を借り直す(再リース)、?物件をリース会社に変換する(契約終了)、?ユーザーが物件を買い取るのいずれかである。
?の場合、リース料は原リース料の10分の1〜12分の1程度の低額になることが多い。これは、リース業者にしてみれば、現リースの契約の終了によって、既に投下資本と利益を回収しているといえるからである。この金額を下回った場合、当該物件がユーザーに売り渡されたと、税務上、認定されることもある。