【第三章 第4節 意匠権】

1.意匠法(1−32,2−60)
意匠法は、意匠の創作を推奨することで、産業の発達に寄与することを目的としている。意匠とは、物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美観を起こさせるものをいう。意匠法は、特許法・実用新案法のように技術的創作を対照とするのでなく、美的形態に関する創作を対象とする。なお意匠法も、特許法などと同様に、IT化に応じた改正がなされている。

2.意匠登録の要件(1−33,2−61)
意匠権を付与されるためには、願書と図面を提出し意匠登録を受けることが必要である。意匠登録を受けるための要件は、?工業上利用性、?新規性、?創作非容易性を有し、?先願である、ことである。?〜?が必要とされる理由は、特許法と同様で、産業の発達のために保護する価値を有する意匠を選別することにある。
なお?については、同一の意匠のみならず類似の意匠も先願となり得る。よって同一または類似の意匠が先願されていると、後願の意匠は登録できない。

3.意匠権保護の諸制度(1−34,2−62)
(1)関連意匠制度
関連意匠制度とは、本意匠に類似する関連意匠についても独自の意匠権としての効力を認める制度をいう。
これは、従来の類似意匠制度のもとで本意匠の類似の範囲を確認するものに過ぎなかった類似意匠について独自の効力を認めることで、同一のデザインコンセプトに基づいたバリエーションデザインをより保護することを目的としている。

(2)部分意匠制度
部分意匠制度は、物品の一部にも独立の意匠権を認める制度である。商品のデザインの一部のみを模倣するような行為からも意匠権者を保護することを目的としている。

(3)組物の意匠制度
組物の意匠制度とは、2個以上の独立した物品からなる集合物に対して1個の意匠権を認める制度をいう。コーヒーカップとソーサのように全体を合わせることで統一的なデザインとなる意匠を保護することが目的である。